グレー企業で働いてた話

※旧ブログからの移行記事です。

今でこそ都内でなかなかホワイトな環境で働いているが、新卒で社会人になってから3年間半くらいは少々きつめの環境で働いていた。

きつめだったとはいえ、よくネットで見かけるブラック企業などとは比べものにならないくらいぬるい環境だし自分自身ゆとり育ちの甘ちゃんなのでこんなことでブラックだったと騒ぎ立てたくない。でも正直ゆとりにはなかなかしんどかった。まあ会社自体もブラックではなくグレー企業を自称していたので、そんなグレー企業とはなんたるかを語りたい。

このグレー企業、実は表向きにはかなり働き方改革に取り組んでいる会社で、社内でも実際ほとんどの事業部はかなりまっとうな働き方をしており福利厚生も医療費は他の大企業らと比べても非常に充実していた。だからこそ入社したのだが、私の配属された事業部がたまたま社内では見て見ぬふりをされているような異質なところで、この会社の中では断トツに働いているところだった。私がいた事業所の隣の部署の人がなんと社長様に直接「隣の部署の人々が人間離れした働き方をしています」と連絡したほどだ。

全国に事業所を持っており、私は某県の事業所への配属でそのオフィスの徒歩圏内に住まされ、そこは駅からは歩いて100分超、近隣に歩いている人はおらず夜は外灯もなく真っ暗の閉鎖空間だった。コンビニ以外に行くには車が必須であり、会社の飲み会も若手が車を出すことを強いられるので、車がないのであれば車を買えという先輩たちからの圧力が凄まじかった。なので新人は全員ローンで車を買うことになるのである。職場もうちの部署が10人、隣の部署も10人、総勢20人程度しかおらず、一人一人の距離感が近く家がバレており、なんなら同じアパートに住んでる人もいて土日の車の有無で外出してるかどうかが筒抜けだった。個人的にはこのどうしようもない閉塞感がかなり厳しかった。もっと知らない人間とすれ違ったり近くの店を開拓できるような生活環境がよかった。

一応肩書きはIT営業だったがそれ以外にも業務コンサルやCE、SEとしての仕事をしていた。嘘のように聞こえるかもしれないがコンサル、IT企業の全職種を一人でやっているようなイメージ。とんでもないほどの知識量、技術力を要求される仕事だったにも関わらず教育制度は一切なし、とにかく現場で覚えろという方針なので新人はいきなり一人でトラブル対応だったり業務コンサルのため客先に行かされまったく対応できずに顧客にめちゃめちゃ怒られるというのが通過儀礼である。なので入社当時は自分が無能すぎ&先輩たちがなんでもできすぎて社会ハイレベルすぎだろと思った記憶がある。毎年事業所に1人新人が配属されるようなペースだったがそのハイレベルさゆえに私の1個下の後輩はうつ病に、2個下の後輩は髪が白髪に、そして3個下の後輩は自殺未遂とそれぞれが各々の1年目に大きなインパクトを残している。

残業は一応つけることはできるが月の上限があるのでそれに収まるように記録を改ざんするのが当たり前で、どれだけ早く出社しても定時出社扱い、出先から遅くに帰ってきたら18時(定時)に直帰ということで記録していた。平均すると表向きには月45時間の残業が可能だが実際にしていたのは平均100時間ちょいくらいである。消えた55時間。帰るときには上司に「帰ってもいいですか」と聞かなければならないのだがどうしても帰りたくて8時くらいに帰ろうとすると「何か用事でもあるのか?」と聞かれてしまうのでまあ帰れない。ちなみに金曜はボーナスタイムで翌日を気にしなくて済むので2,3時までみんな残ることが多かった。新人のときに旅行のため1日休もうとしたら「有給は体調が本当に悪くなって出社できないときのためにあるものだ」と言われ、旅行はキャンセルした。ちなみにいざ体調悪くても休む余裕がないのでみんな出社して、そしてみんなで体調悪くなりながら仕事をする。

完全週休二日(土日)制を謳っていながらも普通に何かしらの作業のため土日出勤はあるし、平日と変わらず帰りは遅いし日によっては泊まり込みだし、その土日出勤もなかったことにされる。手当も代休も存在しない。

業務時間が長いだけではなく内容もかなりみっちりで、とにかく電話が鳴るし、即答できない謎の問い合わせばかりくる。そして客に「来い」と言われるので体が1個ではまったく足りなかった。当然だんだんと疲れも溜まって寝坊することもあったが、そうすると親切なことに先輩が家まで起こしに来てくれるのである。クソだ。

客も最初はめちゃめちゃコケにしてきたが、私がなかなか忙しいことがわかってくると次第に優しくなり「早く辞めたほうがいいよ」と言ってくれた。そしてさすがにもう限界だと思い辞意を伝えたところ上司に新規プロジェクトのリーダーに任命されたりなどと、責任のでかい仕事をどんどん拝命いただいた。上司曰く「責任ある仕事をやらせたら辞めないかなと思った」とのこと。上司の上司(部長)との退職面談もほとんど圧迫のような形で、何日やったかわからない。

ゴタゴタしながらも一応辞めることができ、形だけの送別会も開いてもらったがこれまでの異動者や他の退職者がもらっていたような寄せ書きはもらえず、送別品は一人1000円(×10人で1万)の予算のはずなのにとんでもなくまずい安酒を与えられ、上司も「お前はまだまだ未熟だ、ここである程度成長したから出ていくわけじゃない、どうせまた戻ってくることになるし待ってる」などとよくわからないことを供述していた。その後こっそり別の先輩に「あんなこと言われてよかったな、普通は戻ってこいなんて言わないよ、俺があんなこと言われたら泣いちゃうよ」と言われた。働きすぎておかしくなってるんだと思った。

転職して5ヶ月が経過したが、戻りたいと思ったことはない。

とはいえこんなのはブラックとはとても言えず、一部の人には当たり前だとも言われそうな職場環境だと思う。これくらいならグレー企業を自称できるかなといったところだ。

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